WordCamp サンフランシスコ 2008 レポート拾い読み、3本目になりました(その1、その2)。迷いつつ、8つほど選んでみたセッションのうち4つの詳細です(その4につづく)。
より高速なサイトの構築
このタイトルを見て、「うーん、サーバー側のチューンアップ関連のお話?」と思った方も多いかもしれませんが、いえいえ、違います。フロントエンド(XHTML/CSS/JavaScript)のコーディングがロード時間のうち8割に影響してくる、という事実に基づき、Yahoo!サイトの最適化やFireBug、YSlowなどのツール開発に関わってきたスティーブ・サウダーズ氏のプレゼン。
基本的には彼の書籍、「ハイパフォーマンスWebサイト ―高速サイトを実現する14のルール」に書いてある事と似た内容をカバーしていたようですが、今回はMa.ttの分析を通してWordPressサイトに実用的なコツを例示していました。
- ページのロードに必要なJavaScriptとそうでないものを分け、時間差で読み込まれるようにする
- .jsや.cssファイルをまとめ、合計数とボリュームをなるべく少なくする
- CSSバックグラウンドの画像をスプライトして数を減らす(関連リンク)
- スクリプトがCSSの後に読み込まれるようにする
- できる限りgzipを利用する
- ETag、Expireを正しく設定する
これらのコツはYSlowを使っていればアドバイスとしても出てきます。また、Yahoo! Developers Networkブログでも説明されていますし、日本語訳もあります。WordPressテーマを作る際、必ず押さえておきたい内容が詰まっていますので、書籍かネットの情報をぜひ読んでみて下さい。
LOLcatとバイラルの秘密
猫の写真にキャプションを付けたlolcatで有名なユーモアサイト、I Can Has Cheezburger?の運営者によるプレゼン。WordPress.comサイトとしてトップクラスのトラフィックを誇るこのサイトですが、ただ面白おかしいだけではなくて人気サイトに必要なコツをしっかり押さえて運営されています。
意外にも(?)軸となっているのは、サイトへのリンクを含めたスパムぎりぎりのような「招待状」メールをばらまくだけじゃなくて、充実したコンテンツをしっかり育てていく事で地に足の着いた「バイラル」効果を狙う方が良いよ、というごく正統派の姿勢。
結局はどんなギミックを使ってサイトにトラフィックを呼び寄せても、それを継続していくためには内容がないとダメだし、クチコミというゆっくりだけど確実な方法が長期的には効果がある、とのこと。あたりまえのアドバイスですが、これほどの人気サイトの運営者が言うと説得力があります。
lolcatって何?という方は、PDF形式のスライドでご確認ください 🙂
WordPressコーディングとセキュリティ
WordPressの主要開発者の一人であり、多数のプラグインも作成しているマーク・ジャクイス氏によるプレゼン。主にプラグイン開発者に向け、セキュリティの面で問題のないコーディングをするためのコツを紹介。WordPressでもXSS、CSRF、SQLインジェクションなどを防ぐための独自の仕組みが色々と増えてきていますが、実際にはまだプラグイン開発者全体に広まっていないものも多いと思います。
コードを挙げた説明と例はスライドで紹介されていますので、詳細はそちらでどうぞ。
WordPressとマイクロフォーマット: これまで、現在、そしてこれから
WordPressがブックマークリンク機能にXFNというマイクロフォーマットをけっこう前から採用しているのはご存知の方もいると思いますが、その他にもテンプレートタグの生成するXHTMLやプラグイン、テーマでもマイクロフォーマットの活用が広まっています。マイクロフォーマットWikiでも、今のところ各種CMSのうち一番充実したページがあるのはWordPressですね。
このブログでも地味に所々でマイクロフォーマットを使ったりしていますが、テンプレートや本文に手動で書くのではなくてプラグインやショートコード、クイックタグ/TinyMCE、カスタムフィールドを使った方法も色々カスタマイズできると思います。
コンピュータが得意な自動化のパワーを最大限に利用するためのマイクロフォーマット。テンプレートを元に自動的にページを生成して記事を公開するWordPressとの親和性はこれからも高まっていくはずです。
5ページと簡潔ですが、このプレゼンのスライドもどうぞ。
画像クレジット(下2つ): cogdogblog
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