Poedit の翻訳メモリを別のパソコンに移行する方法(Mac)

PO ファイル編集用のデスクトップアプリ、Poedit は現在のところ翻訳メモリ(Translation Memory = TM)をローカルに保存しています。新しいマシンに切り替える際に安全に移行する方法がオンライン上に見つからなかったので、作者の Václav さんに確認してみました。

Poedit の翻訳メモリ設定画面

方法は以下のとおりです。

  1. Poedit を新しいパソコンにインストールする。
  2. 両方のパソコンで、不可視ファイルを表示するように設定を変更(ターミナルを使うか、Finder で Macintosh HD を選択して ↑ Shift + ⌘ command + .)※ 。
  3. 両方のパソコンで Poedit を終了し、旧パソコンの以下のディレクトリを新パソコンからアクセスできる場所にコピーする(Dropbox など):
    /Users/xxx/Library/Application/Support/Poedit/TranslationMemory
  4. コピーしたディレクトリで新パソコンの同じ位置にあるディレクトリを上書きする。

write.lockと segments.gen というファイルを上書きするかどうか聞かれるかもしれませんが、私の場合上書きしてしまっても問題ありませんでした。

※ 不可視ファイルの取扱に慣れていない方は、誤操作で必要なファイルを消したりしないよう不可視に戻したほうがいいかと思います。

作者さんによると、異なる OS 間でもこのコピーの方法は有効とのこと。ただし、複数のパソコンがアクセスする共有の場所に翻訳メモリを置くことはできないそうですのでご注意を。

ちなみに現在の Poedit Pro 版では「オンライン共同翻訳メモリ」という機能があって、別環境での翻訳メモリ共有はこれでかなりカバーされている部分もあります。将来のバージョンではもっと手軽に翻訳メモリをエクスポート、インポートする機能も実装されるかもしれないそうですが、それまでの間にこの情報がお役に立てば幸いです。

英語版: Migrating Poedit Translation Memory to a Different Computer (Mac) 

4月24日は「WordPress 翻訳の日」!

先日 WordPress 日本語版サイトのブログでも告知記事を公開しましたが、今週末の日曜日(4月24日) に「Global WordPress Translation Day」が開かれます。

Global WordPress Translation Day banner

WordBench.org でも額賀さんが記事を書いてくれている通り、日本国内では現時点で東京・京都・香川 (男木島)・福岡でのオフラインイベントが予定されています。世界各地で見ると、イベント開催は40近い場所に広まっている模様。動画セッションの参加者予定者は現在約1150名、105ヶ国だそうです。

WordPress Polyglots コミュニティとしては初の試みであるイベントですが、WordPress が本当に世界中に広まっていることが実感できるものにもなりそうです。

さて、「WordPress の翻訳」と言うと「でも WordPress 自体は完全に日本語化されてるし、さらにたくさんの人の協力なんて要るの?」と思われる方もいるかもしれません。日本語に関して言えば確かにコアの翻訳はある程度安定して進んでいるので、今一番協力が必要なのはプラグイン、テーマの翻訳になります。

ざっと見たところ、現在 translate.wordpress.org 上で翻訳が100%完了していないプラグインは約2,100個、プラグインは11,720個!まだまだたくさんのヘルプが必要です。すでに185人の翻訳協力者がいますが、新たに手伝ってみたいという方ももちろん大歓迎です。

日本語翻訳者

日本語以外に、絵文字ロケールの翻訳で参加することもできますよー。

国際的なわぷーも登場。

日曜日、WordBench 東京イベントまたはオンラインでぜひお会いしましょう (全体の英語版 Slack もあります) 。日本語での翻訳セッション動画は朝11時からこちらでご覧いただける予定です。

JTF 翻訳祭2015

今日は市ヶ谷で開かれた JTF 翻訳祭というカンファレンスに行ってきました。先日ブログにも書いた多言語ナイトの時に翻訳サービス企業の方から教えてもらって初めて知ったのですが、今回で25周年だそうです。こういった翻訳業界のイベントに参加したことはなかったので、新しい視点を得る機会になりました。

翻訳祭 企業ブース

セッション

プログラム一覧はこちら

翻訳者の皆さんに知っていただきたい、多言語ソフトウェア開発側の苦労

海外向けソフトウェアの開発支援を行っている、NEC 森 素樹氏の講演。NEC の開発するアプリケーションとなると Web アプリケーションとは規模や開発プロセスが違う部分もありますが、発生する問題やベストプラクティスなどは共通の部分のほうが多く参考になりました。

翻訳祭「多言語ソフトウェア開発側の苦労」セッション

ソフトのローカリゼーションには「違和感を感じない品質」が求められる。きちんとできたからといって褒めてもらえるわけではないが、できていないと反発や企業イメージの低下を招いてしまう。というのには納得。元の言語以外でも違和感なくソフトを使えて、多言語で存在することが当たり前になるような翻訳を提供できれば理想的です。

そのためには開発の最初から国際化を視野に入れることはもちろん、継続的な取り組みが不可欠、と言っておられました。これも当然ではありますが、心に留めておきたいことです。

講演中に紹介された役に立つリンク。

次なる未来『トピック指向時代』の翻訳に挑む!

副題は「DITA・CMSの導入事例から明らかとなったトピック文書翻訳のベストプラクティス」で、DITA という XML 規格を使ったマニュアル文書などの作成についてのお話。

トピック指向文書翻訳・DITA 導入セッション

個人的には CMS との連携あたりの話に非常に興味があったのですが、主に DITA 導入においての失敗例や改善のためのプロセスがメインでした。関係ないんですが、登壇されたヒューマン・サイエンス社のドメイン名が science.co.jp ってすごいなと気になりましたw

DITA 自体の話に加え、翻訳しやすい日本語の書き方とデータの準備方法、翻訳プロジェクトを成功させるためのプロセス(ゴールの設定、プロトタイプづくり、運用ルール制定)などもあって興味深かったです。

(予備知識として DITA について調べていたら、WordPress 共同創始者のひとり Mike Little が2009年に作った “DITA to WordPress Import Tool” というものがあることを知りました。昨年の時点での更新版を公開している方もいます)

MT Live ~機械翻訳の担うべき役割~

こちらのパネルセッションは2部制の後半を聞いたのですが、3社の機械翻訳(MT)技術を使った結果を比較して、専門の翻訳者がそれをレビューするという内容でした。実際の結果出力もすべて配布されていました。

翻訳祭 2015 機械翻訳パネル

特許・IT 分野の定型的なマニュアル翻訳に関しては各社の特長や優越は特には感じられず、下訳には十分使えるレベルとの判定。人間が訳すると自然な文になるのは当然ですが、MT にはスピードや統一性という大きなメリットもあります。機械翻訳をいかにうまく使うかが、これからはプロにも差をつける鍵になりますよ!とまとめておられました。

一方、一般向けのテキストは(少なくとも今回の例文については)一番厳しい結果となっていました。慣用句・多義語・言葉遊びを多用した自然な原文であればあるほど文脈をつかむのが難しくなってしまうし、時事ネタはまだ登録されていないのでカバーできないというのが現状のようです。私も例文を Google Translate にかけてみましたが、やっぱり変な訳になってしまっていました?

そういえば学生時代に英語を勉強する目的でニュース雑誌や新聞を読んだりしていましたが、今思うとああいう文章は実は外国人には難しいですね。勉強向けには、文章や用語に規則性がある各種マニュアルを読むといいかもしれません!?

まとめ

私が主に知っている翻訳の世界である Web アプリの UI、コンテンツ翻訳などは翻訳産業全体から見るとまだまだ新しめの分野なんだなという実感はしましたが、どのセッションでもその新しいニーズや変化についての言及がけっこうあったのが印象的でした。WordPress のようなオープンソース CMS やその関連技術がこれからの翻訳を大きく変えていく可能性もありそうだし、会社での仕事とコミュニティを通してローカリゼーションをもっと楽に高品質にしていくためのことが何かできればいいなと思ったりしました。

そして技術の発達に伴って「ローカルユーザーに対して意図されたメッセージを伝える能力」そして「翻訳プロセスを最適化していくための工夫」が人間に対してますます必要とされていくんだろうと感じました。

わかりやすい文章や心に響く表現を磨き、翻訳を改善するためのアイディアを多方面から試してみることはまだまだコンピューターには苦手な分野です。そういう意味でも今回、普段とは違う角度から翻訳やローカリゼーションについて考えるきっかけを作れてよかったと思います。