カテゴリー: 6月 2009

WordPress MU と WordPress コードの統合について

先日、WordCamp サンフランシスコの「The State of the Word」スピーチ内で告知された WordPress MU と WordPress の統合(マージ)。今日の WordCamp ダラスでも言及があったようです。詳しいところ、どうなってるの?という疑問をちらほら見聞きしますので、他のブログなどに書かれた情報などを元に、ちょっと補足したいと思います。

まずは、この告知が何を意味するかについて。

ひとことで言えば、WordPress MUWordPress.org の2つのプロジェクトが、ひとつになる」ということです。または、「MU プロジェクトはなくなり、.org に内包されるようになる」とも言えます。

なぜ?

MU の主要開発者 Donncha は、「WordPress MU の、複数ブログを使えるようにしているレイヤーを通常の WordPress にも含める」と説明しています。今までは、これら2つは基本的には似た仕組み(MU の About ページによると、99% のコードベースは共通)とはいえ、WordPress の方に新しい機能が入れば、それを同期・コピーして MU にも入れるという形を取っています。これには同期させる手間だけではなく、テストやバグ修正も別にやらないといけないという負担もあります。

コード以外にも、ドキュメンテーション、フォーラムも MU 独自のものがあるし、プラグインやテーマも別のものが必要でした(両方で使えるものも多くあります)。そちらに注がれていたリソースが今後はすべてシングルインストールの WordPress.org に向けられることになります。これは、効率的なことだと思います。

MU を別プロジェクトにしていた理由は、WordPress 本体は軽く、シンプルにしておきたいという点が一番大きかったはずです。また、MU は単に5個とか10個とかのブログを作るための別バージョンではなく、WordPress.com のような巨大レンタルブログサービスも展開できるようなシステムという意味合いの方が大きかったので、大多数のユーザーには必要ではないと考えられていたのだと思います。しかし、BuddyPress によるコミュニティサイト構築の需要が高まってきたのと、上記のような効率化の必要を感じて、今回の統合と言う流れになったのだと思います。

MU がなくなってしまう=今後、複数ブログ機能は重要視されなくなる?と思われた方もいたかもしれませんが、そういうことではなく、逆に重要度が高まったからこその統合と考えてよいでしょう。

いつ?

今のところ、WordPress 3.0 のリリースで統合が完了する予定だそうです。

現在の MU サイトはどうなる?

現在 MU のサイトをインストールしている場合、または統合完了までに MU のサイトを新しく作った場合はどうなるのか、というのはとても気になるところだと思います。先ほどもリンクした記事での Donncha のコメントによると、「すでにたくさんの MU サイトがあるから、移行には細心の注意を払わなくては、というのは考えてる。普通のアップグレードをするのと同じようになる、という可能性が高いと思うよ」とのことですので、心配しすぎる必要はないと思います。

ちなみに、複数のシングルインストール WordPress サイトを MU との統合後の WordPress にまとめるには、個別のブログをインポート機能で取り込むことになりそうとのことです。

統合まで、MU のインストールを待った方がいい?

例えば BuddyPress を使ってみたいけど、今はまだ MU をインストールしないほうがいいのか?という疑問もあるかもしれませんが、これはケースバイケースだと思います。BuddyPress も現在はまだ 1.0 がリリースされて間もないので、色々な機能が追加されるまでしばらく待つという姿勢もありですし、MU/WordPress の開発の動きを見ながらテスト的にインストールしてみるというのもありだと思います。

統合が完了したからといって WordPress の開発がそこで止まるわけではないので、今でも 3.0 以降でもある程度は似た状況とも言えなくはありません。テーマやプラグインも含めて活発な BuddyPress の動向がおもしろくなっていきそうですので、インストールして触ってみる時間がある人なら待っているのはもったいないのでは?と個人的には思います。

WordPress.com にて公式日本語ブログを開始しました

レンタルブログサービス WordPress.com にて、「WordPress.com 日本語ブログ」を公開しました。
初投稿ブログは少し前の日付になっていて、少し前からプライベートモードは解除していたのですが、今日から ja.wordpress.com のホームページにリンクされたので、正式オープンということで。

WordPress.com 日本語ブログ

日本語ブログではしばらく英語ブログ(en.blog.wordpress.com)の翻訳が中心になっていくと思いますが、「こういう情報が知りたい!」という声があれば含めていきますので、今まで疑問に思っていたこととか、日本語での情報が足りないこととかがあれば聞かせてください。

ブログでも書いていますが、Twitter の @jawordpresscom というアカウントでも更新情報やちょっとしたニュースを流したりもしていますので、こちらもどうぞよろしく!

さて、WordPress.com の中では日本語は実は(?)マイナーな言語なのです。先日、TechCrunch で WordPress.com と Blogger.com の比較などが取り上げられていましたが、その記事によると WordPress.com でブログの読者数が多い国は以下の通り。

  1. アメリカ合衆国
  2. ブラジル
  3. トルコ
  4. スペイン
  5. カナダ
  6. イギリス

日本はと言うと、現在は読者数・ブログ数共に数パーセント以下という、かなり遠くの圏外です。他の国に比べて国産のレンタルブログの選択肢が豊富という状況はあるにしろ、「インストール型 WordPress.org のダウンロード数との格差がすごく大きい」という点では特殊な地域であることは確か。

公式ブログなどを通して、たくさんの人に使ってもらっているインストール型 WordPress.org をさらに手軽に始める入り口としても、もっと WordPress.com にも親しんでもらえるようになればと思います。

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WordPress テーマ GPL ライセンス化のトレンド

昨日、有名な有料テーマ配付サイトである「WooThemes」が、いままでプロプライエタリなライセンスだったテーマを GPL 化するという告知をしました(ただしサイトでの配付は有料のまま。これ自体はライセンスには違反しません)。

それ以外にも人気のテーマ配付サイトがライセンスの変更をした例としては、Revolution(去年の10月に変更)、iThemes(今月11日に変更)などあります。もちろん、GPL ライセンスのテーマのみを掲載している公式テーマディレクトリには、Carrington テーマ、ThemeShaper のThematic など、クオリティの高いテーマ(テーマフレームワーク)も少なくありません。

WordPress のテーマのライセンスについては、英語圏ではかなり白熱した議論があちこちで起こっているのですが、それぞればらばらの場所なのであまり伝わっていないかも。例えば以下など。

テーマライセンスについての WordPress 側のポリシーは、去年の暮れにマットが出演したポッドキャストがとても分かりやすいと思ったのですが、残念ながら日本語では聞けません(音声リンクは記事の下の方)。改めて聞いてみて、良いポイントだなと思ったのは、43分以降あたり。意訳ですがこんな感じ。

「WordPress コミュニティのテーマに対する姿勢は、Google が発表しているサイトに対するガイドラインみたいなものであるべきだと思う。自分のサイトを作る時に好きなことをやってかまわないけど、ガイドラインを無視すれば Google 八分になったりする。ライセンスに従わずにテーマを配付することもできるけど、WordPress.org の公式サイトではそういうテーマを宣伝するつもりはない」

「WordPress はこれから何十年先も続いてくものだから、現在の決断が将来につながっていくことも考えないといけない。フリーで高品質のテーマがなくなってしまえば、WordPress の人気にも影響してくるだろう(PostNuke/Joomla の例)。そういう方向性を奨励したくはない」

「ここまで成長できたのは、オープンソースの考え方を受け入れてきたから。この先それを変えたとしたら、これまでみたいにはいかないだろう」

逆に反論としては、「無料ではビジネスが成り立たない」「非 GPL のテーマだからこそできるクオリティのものがある。そういうものが生まれることはコミュニティにとっても有益なのでは?」などという意見があります。
これに対しては、「サポートやコンサルティングなど、コード自体をオープンにしてもうまくいくビジネスモデルを採用して欲しい」「長い目で見れば、GPL テーマの方がコミュニティにとって良いこと」という、考え方のシフトを求める姿勢のようです。

ポッドキャストでは「間違ったことをしている人を責めるより、正しいことをしている人を応援したい」とも発言していましたし、ここで私が書いているのもそういう観点からです。WordPress はライセンスが面倒、と思ってもらいたくはないのですが、背景にある考え方について理解しておけば、不明な点が少しクリアになるかもしれません。

日本でも、WordPress のポリシー、ユーザーの自由、そしてビジネスをしている人の利益が共存できるような環境を作っていくにはどうするのが一番いいんだろう?と考えているところです。まだ道のりは長いかもしれませんし、はっきりした答えもないですが、WordPress が成し遂げてきたことを見れば、それも無理ではないと思っています。

WordPress 2.8 がとうとうリリース!

追記: このバージョンのアップグレードの前に、注意事項を必ずお読みください。アップグレード後のトラブルシューティングについては、フォーラムに掲載しています。

WordPress 2.8 がとうとうリリースされました!
2.7 が出てから約半年、前回の管理パネル大幅リデザインほどの大きな変更はありませんが、「まだか、まだか」と新リリースを待ち続けているユーザーの期待はますます大きくなっているような気もします。

今回の新機能をまとめると、

  • テーマブラウザー
  • ウィジェット機能の刷新
  • テーマエディターへの構文強調表示機能とテーマ関数検索の追加
  • 管理パネルの高速化と、より高度なカスタマイズ性の追加

といったところ。
テーマ周辺に重点を置き、引き続き管理画面の改善を行っているのが分かります。
(え、これだけ?と思った方…。かなりおおざっぱなまとめですので、詳しくは変更点一覧をご覧ください :)

テーマブラウザー

どれも便利な機能ですが、とくにテーマブラウザーは大きな変化ですね。たくさんのテーマから選んでクリックだけで選べるのはまるでレンタルブログみたいですが、800 以上あるテーマの数がこれからもどんどん増えていくことは WordPress ならでは(選ぶのが大変ですが…)。

それから、テーマを変更しやすくなった分、サイドバーなどのテンプレートファイルをカスタマイズする代わりに、ウィジェットを活用する機会がさらに増えてくるはず。テーマを変えたりして使わなくなったウィジェットの設定が消えないよう、とりあえず保留しておくスペースができたのも良いです。

毎度おなじみ、ジャズミュージシャンにちなんでつけられるリリース版の名前ですが、今回は「Baker」。トランペット奏者のチェット・ベイカーにちなんでいるそうです。

クール・ジャズなどにカテゴライズされる彼の演奏スタイルは、なめらかでメローな感じ。前回の革新的なコルトレーンとは違い、「よりスムーズに、使いやすく」という今回のバージョンの雰囲気がつかめるのではないでしょうか?
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