Automattic が(本当に)オフィスを廃止した理由

先日、ビジネスニュースメディア Quartz で Automattic が SF にあるオフィス(社員向けコワーキングスペース/ラウンジ)を手放すことにした件が取り上げられていました。

The company behind WordPress is closing its gorgeous San Francisco office because its employees never show up

Automattic はリモートワークの社員ばかりで「思ったより活用されないので」というのが簡潔な理由なのですが、「じゃあなんでそもそも420坪もあるスペースを作ったの?」という疑問もあるかと思います。詳しい理由について、新プロダクト開発チームリードのトニー・シュナイダーがブログを書いているので抜き出して訳してみます。

When a company grows, but the office shrinks

  1. そもそも、借りていたもっと小さいスペースを立退きする必要があったので引っ越した。その頃は100人中15人の社員がサンフランシスコ・ベイエリアに住んでいたので、社員が5倍くらいになる頃には広いスペースが必要になると考えていた
  2. 実際5倍にはなったものの SF エリア外で雇われる人の割合がかなり増え、エリア内の人も雇われてから遠くに引っ越したりするケースが多かった。現在32人いるエリア内の社員のうち、多くても半分以下くらいしか一度に集合することはない。
  3. チーム合宿にも使う目的を想定していたが、SF に宿泊するコストが当初よりかなり上昇し、使えるオフィススペースを勘案しても他で合宿するほうが安くなった。

5年前には「アメリカ:それ以外在住の社員」の比率は65:35だったのですが、現在は半々になっていることも書かれています。

まあ言ってみれば色々と予想が外れた、ということですね。「分散型企業は、本人たちが思ったよりも分散して成長した」とも言えます。

オフィスの写真・動画

私が最後に訪問したのは2013年の秋だった模様。その頃社員が200数十人?だったと思うのですが、最初で最後となったこのオフィスでの全社合宿の時でした(日程の半分は、サンタ・クルーズに移動して行われました)。

↑ 動画が再生されない場合はこちらで。

もうあのスペースを訪れることはないですが、オフィスがなくなっても日々は変わらず、私たちは WordPress.com と Slack、その他オンラインにある仕事場でこれからも分散しつつ仕事をしていくことでしょう。次に同僚と顔を合わせるのは来週末の WordCamp Kyoto!楽しみです。

Suumo「自由な仕事、自由な暮らし」特集に掲載されました

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Suumo の表紙と私の掲載されたページ。

5月3日号の「Suumo 新地マンション首都圏版」にて、オフィスのない会社ということでAutomattic での働き方を取り上げていただきました。

見開きの写真は、和歌山県白浜町の Salesforce サテライトオフィスで働く吉野さん。

特集で他にも、サテライトオフィス・月1回出社・部分的にリモートワークをしている方などが紹介されています。「テレワーク」を厚生労働省・総務省が推進していることや、国内企業の導入率の現状などの囲み記事もありました(調査対象の11.5%が導入しているとのこと)。

登場している人は私も含め Web・ソフトウェア関連の仕事ですが、他の分野の方も読むこういった媒体で取り上げられることで分散型の働き方に関する興味や関心が広まればいいなと強く思っています。

Suumo は駅、コンビニなどで無料配布されていますので、見かけた方は読んでいただければ嬉しいです。週刊なので来週火曜までになります。また、無料送付も申し込めるようです

Automattic 全社合宿、2015年版

今年の Grand Meetup = 社員全員が集合する一週間の合宿から帰ってきました。昨年は産休でスキップしたので、2年ぶり8回目の参加。今回の宿泊先は、ユタ州のパークシティという町でした。

100%リモートワークの会社として10年目を迎えた Automattic は、約400人のチームになりました。この人数になると合宿はちょっとしたカンファレンスのような感じでもありますが、全員が集まって静かにプレゼンを聞くような場は意外と多くありません。では、何をやったかというと…。

  • 経営、プロダクトチーム、サポートチームなどによる「タウンホール」形式の質疑応答セッション
  • 数名〜20名のグループに分かれた社内用ツール作成のプロジェクト、またはプログラミングのクラス
  • 全員がスピーカーとして4分間好きなトピックについて話すフラッシュトーク(LT)

という感じで、基本的に普段の仕事とは違うお互いの領域を理解するためにたくさんの時間が割かれています。

Veselin and students. #a8cgm

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さらにランチとディナーは毎回違う人と一緒に食べるようグループ分けがされていたり、ハイキングや脱出ゲーム、ゴーカートレースや卓球トーナメントなどなどのアクティビティに自由参加したりと、ランダムに同僚と出会って交流することもできました。

毎日めまぐるしいほどにスケジュールが詰まっているので、合宿専用の Web サイトもつくられていたほど。もちろん WordPress.com でできていて、ログイン中のアカウント向けに完全にカスタマイズされています。毎日自分の登録したアクティビティを一覧化したスケジュールが更新されたり、食事の時の席順や自分の LT の時間と場所が分かったり。これに加えて当日の情報が Slack ボットから毎朝個人宛ての DM として届くという徹底ぶりのおかげで、日々変わる日程に混乱しすぎず過ごすことができました。

Hiking was a good idea, @jenialaszlo ! #a8cgm

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正直言うと7日間、1日何度も自己紹介をして質問し合うのはなかなか気が疲れることではあります。みんな普段パソコンに向かってばかりいるし、そもそも内向的な人も多いので特に…。しかし、オンラインでは起こらない会話が生まれるのは全社合宿ならではの醍醐味です。具体的に今後の仕事に関わる内容はもちろん、人柄を知ったり自分のチームの外で起こってることにキャッチアップしたり。同じオフィスで一緒に働いていたら当たり前の「雑談」を、わざわざやるために世界中から集まっているとも言えるのはおもしろいです。

チームの写真

所属チームメンバーとの写真。1人だけ、家族の事情で合宿を欠席中でした。Photo by Ben Chilcote

この合宿に来ると毎年本当にいろんな感情を経験します。たまにしか会わないけど懐かしい顔ぶれがたくさんいる不思議な感覚、新しい人たちに初めて会う不安、変わり者だったり優れた能力を持っている人たちからの刺激など、一年のうち最も強烈と言って良いほどとにかく濃い時間を過ごすことができるのは確か。すべてがあまりにも非現実的に感じられるのは慣れていないせいなのかもと思っていましたが、社員の増加速度も高まって全体の人数が増えていることもあり、何度訪れてもやっぱり変わらない部分も大きいんだなと今回は特に感じました。

非現実的と言えば、最後の日の夜のパーティ。社内で楽器が弾ける人たちが結成した複数のバンドによる演奏(マットのサキソフォン演奏も初めて聴いた!)がどれもうまくてびっくりしたり、The Jane Doze という DJ がゲストとして来てかなり盛り上げてくれたり。経営陣はもちろん法務・人事・会計などが含まれるオペレーションチームの皆さんが一番ノリノリで踊っていたのもこの会社ならでは!と思ったりしました。

Automattic のミュージシャンたちによるバンド演奏

Automattic のミュージシャンたちによるバンド演奏

子供が産まれて、長い間家を空けるのは昔よりも家族の負担が大きくなった部分がかなりあるのですが、今年も参加できて本当に良かったです。快く送り出してくれた夫に感謝したいと思います。


英語版のブログ記事には主に写真を載せています。他の人のこの合宿の記録は、Twitter/Instagram/Facebook などの #a8cgm タグで見られます。