FACTFULNESS (ファクトフルネス) の感想と関連書籍紹介

最近 Twitter などでよく見かける書籍「FACTFULNESS (ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」。とても評判がいいので英語版のオーディオブックで聴いてみました(そのため引用文は私の理解を日本語にしたものです。訳文とは多少違っていると思うのでご了承ください)。

ちなみに Audible では、音声ファイルだけではなく図版が含まれる PDF も付録で付いてきます。日本語のオーディオブックはなかったのですが、国内でも人気のようですし、いつか出るかもですね。

ファクトフルネス、社会のイメージの心理学、こうして世界は誤解する
他の関連書籍と「Factfulness」のオーディオブック

この本で一番印象深かったのは、著者のひたすら真摯な姿勢です。

事実を見ないで雰囲気で物事を捉えて、実際は重要ではないのに見かけが重要そうな問題を優先的に解決することで「いいこと」をしたつもりになっていないか?
形のない不安に怯えて、状況をきちんと把握することから逃げていないか?

本当に世の中を改善させていきたいのなら、本能からの条件反射や、あやふやで独りよがりな感情に飲み込まれるのではなく、データに基づいた事実を頼りに行動しよう、というメッセージが繰り返し繰り返し出てきて、よく伝わってきます。

恐怖や煽動をものごとの認知度を高めるツールとして使うことに批判的なところや、誰かを責めることでは何も解決しないから他のことに力を注ごう、というのにも非常に共感しました。

これまでで「ファクトフルネス」を意識するようになったできごと

自分自身が持っていた認識が誤っていたのかもと気づいたタイミングはこれまで何回かありますが、おそらく一番最初は、小学校高学年〜中学生くらいに自分で選んだ本を多く読むようになった時。高尚な本を呼んでいたわけではないですが、教科書やテレビの世界にはない、今まで思っていたのと違う世界や考え方がたくさんあることを知りました。

それから留学をしたり、成人してインディ系のドキュメンタリー映画を好んで見るようになったり、もちろんインターネットの世界を通して多様性を改めて感じたり。阪神大震災のアメリカでの報道のされ方と実際に日本の人から見聞きする情報の違い、東日本大震災で情報に触れすぎて不安になり、しばらく距離を置くようにしたことなども思い出しました。

世界は前に進んでいる

今の世の中には「ファクトフルネス」を阻害する要因も多いですが、こういった本を多くの人が手に取ったり、自分で事実を検証できる多様な情報のソースが増えたりすることで事実の認識を促す流れもまたできています。まさに、世の中が完全に良いとはいえなくても良くなってきている、ということの証明ではないでしょうか。この本が一過性の盛り上がりだけではなく丁寧に読まれ、多くの人がバイアスのかかった認識を見直したり、事実をよく知って適切なアクションを起こしたりするきっかけになれば、未来はもっと明るくなるはず。

本に興味を持った人は、まずは共訳者の上杉さんが公開しているこちらのクイズから!

関連書籍2冊

この本では「どうして」誤った物事の見方が多くの人に起きてしまうかという理由については深く触れてはいないのですが、そちら方面でオススメの本も2冊ほど紹介してみます。

こうして世界は誤解する(ヨリス・ライエンダイク)

ファクトフルネスでは「真実を知りたいならニュースに頼りすぎてはダメ」とも言われていました。こちらは報道特派員として中東を取材してきた国際ジャーナリストが、私たちが目にする報道がいかに一部でしかないのか、恣意的に切り取られたものなのかを実際のエピソードを豊富に交えて語った本です。これについての以前のブログ記事はこちら

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社会のイメージの心理学~僕らのリアリティはどう形成されるか~(池田謙一)

タイトルが示す通りの内容で、東日本大震災の後に読んでとてもよかった一冊。震災後に読む人が増えたようで2013年に新版が出ているんですが、逆に旧版でもかなり前の本だったからこそ書かれていることが普遍的だというのを実感できたというのもありました。今後も、世の中を不安にさせるような大きな事件が起こって(ニュースや SNS の見過ぎで)気持ちが落ち着かなくなった時は読み直したい本です。

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