WooCommerce Meetup in Hikarie イベントのメモ

水曜は WooCommerce Meetup in Hikarie に行ってきました。決済代行サービスのペイジェント社と職人工房の田中さんが開催されたイベントで、主にECサイトのスマホ対応の重要性や Storefront テーマのカスタマイズの仕方について学んできました。せっかくメモを取ったのでブログで公開します。今回はイベントレポートというよりあくまでも EC 初心者による長いメモ+感想です!

第一部: スマホ決済の重要性と決済代行会社の選び方

ペイジェント臼井さん
スピーカー: 株式会社ペイジェント 臼井裕貴さん

スマホユーザーの4割は履歴から購入 ← デスクトップより多い
それ以外の6割はリスティング、ランキング、会場(広告)から来る

人の可処分時間は限られている(朝、昼食時、仕事の後)
30分以上の時間を求める分野はあまり伸びていない → 時間を小分けすることが勝ちパターンの法則

スキマ時間の「7分」で検索→閲覧→お気に入りに登録を繰り返し、後から寝る前などに購入

更新感(Facebook や Twitter のタイムライン的、短い通知なら見るがメールは必ずしも見ない)、継続性(パズドラ的、セーブして再スタートできることが重要)、時間がかからないこと(速度が早い、すぐできる、決済フローが楽)

決済代行業者の選び方

1. 料金

サービスの定価は公開されていないことが多い。内訳としては、

  • 固定費: 人件費→事務、サポート、支援、システムサポート(この部分が安すぎると対応が杜撰だったりすることも)
  • 変動費: 手数料率の差はほぼない(ただし、古い契約は見直したほうがいいかも)、通信システム利用料 (流通量によって多少上下する)

2. 安全性

セキュリティ基準、管理画面セキュリティ、障害の件数、決済代行会社の倒産リスク

日本ではクレジットカード決済が約67%。その他にはネット銀行、キャリア、コンビニ、ATM (ペイジー) など。さらに直接やりとりするもので振込・代引などもある。

3. 決済手段

越境 EC への対応をしている決済サービスも出てきている。
利点としては、海外現地法人を設立することなく多通貨対応の決済ができることはもちろん、購買者にとって為替リスクがないため購入時のコンバージョンアップにつながること、3D セキュアの利用でチャージバックリスクを軽減していることなども。日本以外で販売したいなら、対応しているところを選ぶことをおすすめ。

第二部: WooCommerce の標準テーマ Storefront の活用法と独自テーマの作り方

職人工房の田中さん
スピーカー: 職人工房 田中昌平さん

WooCommerce の基本情報

日本語対応していないエクステンションもまだ多いが、WordPress プラグインと同じような仕組みで翻訳できる。

バージョンアップがクリックひとつでできるのが、他の多くの EC ソフトと違うところ。ただしテーマやエクステンション作りのルールが変わったりすることはあるので、開発ブログをフォローしバックアップを取る事が大事なのは WordPress コアと同様。

半年に一度くらいのメジャーリリースがあるペース。WooCommerce コアは、2.5 = リリース済み。2.6 = 夏ごろ?現在 2.7 まで計画が始まっている。3.0 になると大きく変わるかもしれないが、まだ不明。

日本での対応レンタルサーバー

WordPress が動くサーバーではだいたい動くが、JavaScript の動作が遅くなるところもたまーにあったりするとのこと。

WooCommerce のテーマカスタマイズ

初めてやるなら WooThemes 公式の「Storefront」を使って子テーマにするのがおすすめ。Storefront をベースにした子テーマもすでに多数あるので参考にできる。

Storefront 子テーマの一例。
Storefront 子テーマの一例。

また、WordPress.org テーマディレクトリに登録されている WooCommerce 対応テーマは他にもあり、それ以外の有料テーマも WooThemes 公式その他が出している。ただしどちらにしても1年放置されているとかサポートを全然してないといったテーマを選ぶのは危険なので、最新版に対応し続けているテーマを見極めること。

Storefront Checkout Customizer (段階的な決済画面機能を追加する) のように、Storefront にのみ対応しているエクステンションなどもある。

質疑応答

質疑応答では、WooCommerce の説明動画やメルマガなどで使い方や進化の状況がわかるといいな〜という声がいくつかありました。ただ、まだまだ WooCommerce に関して日本語で情報発信をする人の数が少ないので、田中さんをはじめとする少数のコミュニティリーダーの人達があれもこれもとカバーするというわけにはいかないというのが現状。私も社内で働きかけて翻訳した情報を正確にすばやく発信できるよう協力していければと思いました。

また、定期購読機能についての質問もありました。定期購読を可能にする Subscriptions エクステンションは近日完全日本語対応の予定で、こちらに多数の機能が含まれています。現在のところ日本向けに定期購入に対応している決済サービスでは Paypal のみが使えますが、将来ペイジェントさん向けエクステンションも対応予定とのことでした。

次に、WooCommerce のセキュリティを強化するために気をつけることは?という質問。WooCommerce に特化した何かというよりは WordPress のセキュリティ対策のコア・プラグイン・テーマを常に最新版に保つ、wp-admin・SFTP・サーバーのコントロールパネルログインで複雑なパスワードを使う、などといった基本がまずは大事。この部分でも、WordPress をよく知っている人ならノウハウが活かせるとも言えます。

イベントで感じたこと

というわけでこのイベントでは決済サービスや WooCommerce について知識を得ただけではなく、現在 WordPress ユーザーが WooCommerce に対して感じている思いをより深く理解できました。

田中さんいわく、「今年は日本での WooCommerce 元年になるかも」。でも、そうするためにはコミュニティを育成していくことが必要で、参加しながらそれぞれが一端を担うという意識が求められるでしょう、とのことでした。

日本語の情報が少ない、という指摘は WordPress がまだそこまで日本では人気がなかった頃(2006〜2008年ぐらい?)にイベントなどで言われたことと似ています。WordPress が「外来モノのマイナーな CMS」から今のように Web 制作者の方に当たり前のように知られる状況になったのは、コアの国際化以外で言うと (英語圏の) WordPress.org 運営者側で何かをやったからというよりは、日本語圏で Codex を翻訳したりブログやフォーラム、そしてイベントで知識を共有する人が少しずつゆっくりと、でも着実に増えてきた結果だと思います。それに加えて日本語圏ユーザーのニーズに合うプラグインの存在は、WordPress の人気を確立するために間違いなく必須事項だったとも言えるでしょう。

完全に無料でオープンソースの WordPress と、Automattic のプロダクトで関連する有料拡張も多数ある WooCommerce。状況は同じではないのですが、Automattic のメンバーではない田中さんが誰よりも日本で WooCommerce を盛り上げようとしててくださっているというのもあって、成長の鍵は似たようなところに潜んでいるのかもしれないと今回のイベントで感じました。


Comments

“WooCommerce Meetup in Hikarie イベントのメモ” への1件のコメント

  1. 越境ECでは、国際ブランドネットワーク経由の取引が必須となるので、チャージバックの知識が必須ですね。
    昨今、国内でも不正利用が多発している中、店舗に重くのしかかる問題。
    クレジットカードの利用者が確かに本人であることの確認は、加盟店契約における店舗の責務、不正利用が発生した場合には、店舗が本人確認の責務を怠った、ということで、クレジットカード会社は店舗からの売上請求を拒否します。
    これがチャージバックですね。
    では、このチャージバックのリスクを無くす方法ってあるんでしょうか?
    あります。
    店舗が3Dセキュアを導入する、です。
    そうすると、本人確認の責務がカード会社側へ倒れます。
    (ライアビリティシフトって呼ばれてます。)
    店舗でセキュリティコードの入力促しますが、このセキュリティコードではライアビリティシフトは発生しません。
    店舗が不正利用のリスクも取りたくない、不正利用で信用を落としたくない、業不正チェックの業務効率化も進め、出荷も早めたいであれば3Dセキュアを導入する、ですね。

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