WordPress 3.0 日本語版が、日本時間のおととい夜中にリリースされました。
今回はいつにも増して皆さんの期待がきっととても大きかったのでしょう、「いつ出るのかな?」「早く出て欲しい!」といったようなブログや Twitter でのつぶやきをよく見かけたし、日本語サイトへのメールの問合わせまで来たほどでした。深夜にもかかわらず、公開後の反応もすごかったです(こちらも、Twitter)。
さて、今回は「用語」に焦点を当ててみます。
今回のバージョンで訳語が変わった言葉はいくつかありますが、その中でもコンセプトが大きく変わったのは、「ブログ」「サイト」「ネットワーク」という各インストールを指す言葉、そして「管理者」「特権管理者」という2つのレベルの特別なユーザーを指す言葉です。
これらをできるだけわかりやすく説明したいと思います。
「ブログ」「サイト」「ネットワーク」
シングルインストール版の WordPress はこれまで、ブログ / CMS ツールと公式サイトなどでも常に書いてありましたが、管理パネルでは個々のインストールのことを実際には「ブログ」と言及していました。例えばですが、新規登録の際には「新しい WordPress ブログの設置に成功しました」と書かれたメールが届いていたはずです。一方、WordPress MU では、全体を「サイト」と呼び、個々のディレクトリまたはサブドメインを「ブログ」と呼んでいました。
WordPress 3.0 からは、以下のようになります。
- サイト
- シングルインストール WordPress のドメイン全体
- または、マルチサイト内のディレクトリまたはサブドメインひとつ
- ネットワーク
- マルチサイト全体
ネットワークとマルチサイトの使い分けはというと、ネットワークの方は実際のインストールを、マルチサイトとはネットワークを作成できる機能の集合を指しているという感じでしょうか。
「管理者」「特権管理者」
こちらは MU にはもともとあったコンセプトですが、マルチサイトには「特権管理者」という WordPress ネットワーク全体を管理者するユーザーがいます。このユーザーができるのは、例えば以下のようなことです。
- ネットワークの設定を変更する
- ネットワークのコアファイル、プラグイン、テーマをアップグレードする
- ネットワーク全体にプラグインやテーマをインストールする
- 全てのサイトやユーザーを編集する(各「サイト」のメンバーとして含まれていなくてもよい)
一方マルチサイト版の管理者は、シングルインストール版と違って上記のようなことはできなくなります。各サイトの管理はほとんど変わりませんが、プラグインやテーマは特権管理者がインストールして許可(ネットワーク全体、またはサイトごとに有効化)したものから選ぶような形になります。
WordPress.com アカウントを持っている人は、そこでサイト所有者としてできるようなことがネットワーク内のサイトの管理者にもできると思ってもらえればわかりやすいかもしれません。WordPress.com はプラグイン周りに制限のある運用になっていたり、有料アップグレードにで一部機能を追加するといったカスタマイズが加わっていますが、基本的にはこの WordPress マルチサイト版と同じコードをベースにしています。
これらの変更に関するコア開発者 Nacin の説明を読めば、このような決断になった流れを知ることができます。ブログ記事のタイトルは「用語の悪夢」ということで、関数名称の決定・変更などなかなか大変だったことが伺えます。
マルチサイト版の仕組みはシングルインストールに慣れていると少し混乱を感じるかもしれませんが、使ってみれば意外とわかりやすいし便利なものです。サブディレクトリモードならネットワークを作成するのはとても簡単なので、ローカルやテストサイトで試してみてください。
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