昨日、有名な有料テーマ配付サイトである「WooThemes」が、いままでプロプライエタリなライセンスだったテーマを GPL 化するという告知をしました(ただしサイトでの配付は有料のまま。これ自体はライセンスには違反しません)。
それ以外にも人気のテーマ配付サイトがライセンスの変更をした例としては、Revolution(去年の10月に変更)、iThemes(今月11日に変更)などあります。もちろん、GPL ライセンスのテーマのみを掲載している公式テーマディレクトリには、Carrington テーマ、ThemeShaper のThematic など、クオリティの高いテーマ(テーマフレームワーク)も少なくありません。
WordPress のテーマのライセンスについては、英語圏ではかなり白熱した議論があちこちで起こっているのですが、それぞればらばらの場所なのであまり伝わっていないかも。例えば以下など。
- Premium Theme Business Models、One Peeved Off Theme Maker(WordPress Tavern Forum)
- More GPL Themes – Yay “Free”dom, An Apology and a Question(Carrington 配布元 Crowd Favorite の Alex King)
- The Ethics of WordPress Themes at a Premium(Thematics 配布元の ThemeShaper)
テーマライセンスについての WordPress 側のポリシーは、去年の暮れにマットが出演したポッドキャストがとても分かりやすいと思ったのですが、残念ながら日本語では聞けません(音声リンクは記事の下の方)。改めて聞いてみて、良いポイントだなと思ったのは、43分以降あたり。意訳ですがこんな感じ。
「WordPress コミュニティのテーマに対する姿勢は、Google が発表しているサイトに対するガイドラインみたいなものであるべきだと思う。自分のサイトを作る時に好きなことをやってかまわないけど、ガイドラインを無視すれば Google 八分になったりする。ライセンスに従わずにテーマを配付することもできるけど、WordPress.org の公式サイトではそういうテーマを宣伝するつもりはない」
「WordPress はこれから何十年先も続いてくものだから、現在の決断が将来につながっていくことも考えないといけない。フリーで高品質のテーマがなくなってしまえば、WordPress の人気にも影響してくるだろう(PostNuke/Joomla の例)。そういう方向性を奨励したくはない」
「ここまで成長できたのは、オープンソースの考え方を受け入れてきたから。この先それを変えたとしたら、これまでみたいにはいかないだろう」
逆に反論としては、「無料ではビジネスが成り立たない」「非 GPL のテーマだからこそできるクオリティのものがある。そういうものが生まれることはコミュニティにとっても有益なのでは?」などという意見があります。
これに対しては、「サポートやコンサルティングなど、コード自体をオープンにしてもうまくいくビジネスモデルを採用して欲しい」「長い目で見れば、GPL テーマの方がコミュニティにとって良いこと」という、考え方のシフトを求める姿勢のようです。
ポッドキャストでは「間違ったことをしている人を責めるより、正しいことをしている人を応援したい」とも発言していましたし、ここで私が書いているのもそういう観点からです。WordPress はライセンスが面倒、と思ってもらいたくはないのですが、背景にある考え方について理解しておけば、不明な点が少しクリアになるかもしれません。
日本でも、WordPress のポリシー、ユーザーの自由、そしてビジネスをしている人の利益が共存できるような環境を作っていくにはどうするのが一番いいんだろう?と考えているところです。まだ道のりは長いかもしれませんし、はっきりした答えもないですが、WordPress が成し遂げてきたことを見れば、それも無理ではないと思っています。
コメントを残す