WordCamp 2007レポート(2日目、前編)に引き続き、7月22日の中編リポートです。おそらく次で最終回です。
Webパブリッシングの過去、現在、未来
RSS、OPML、XML-RPC、SOAP、そしてブログの父とも言えるscripting.comのDave Winer(デイブ・ワイナー)氏による、フリーディスカッション的セッション。ものすごい深い知識があるんだけど、近道せずに根本から教えることを優先にして、先に答えを言っちゃわない先生のクラスみたいでした。というか、答えを一緒に探して先生も学びたいと思っているような、と言った方が近いかな。
ブログなどのコンテンツの超長期アーカイブ問題(Future-safe archives)についてのトピックに一番多く時間が割かれていました。その他、「ブログ」という枠を超えた「Webパブリッシング」のいろいろな形について、の話とかもありました。
WordPressを土台にして広がっていくのはいいけど、その形にはまってしまうのでは本末転倒。WordPressなどのサービスやツールを使ったサイトはあくまでも今、仮の姿?であって、その中身であるコンテンツを、長い目&広い視野で「これを(自分が、そして他人が)どう使っていくか」と考えていかないといけない…。と。Webという社会を見渡して、全体をつなげていくことでその可能性を飛躍的に伸ばすような仕組みの基本を実用化した彼らしい見方だと思います。
この直前のセッションのRashmi Sinhaさん(次世代SNSの話)の時も思ったけど、こんなふうに時間的にも嗜好的にも世代的にも「遠くの人たち」のことを頭においてアプリやシステムや仕様を作っていくのが、結局はうまい具合に働く…というのはおもしろいなぁ。
WordPressのユーザビリティ分析
Happy Cogのインフォメーションアーキテクト(IA)、Liz Danzico氏によるプレゼン。Automatticでは現在、Happy Cogと組んでWordPress管理画面のユーザビリティ検証、リデザインを行っているとのこと。これらの変更はおそらくバージョン2.4で公開される可能性!とても楽しみです。
スライドがなくて残念ですが、以下メモです。
- 現在の管理画面はパッチワーク的に開発されてきたため、表の見出しやラベルなどがばらばら。また、メニューナビゲーションのカテゴリ分けと配置にも再考が必要。
- 管理画面内の言い回しも分かりにくいものがある。明確で一貫した用語に改善すべき。
- VOXやTumblr、そしてiPodは「名詞中心」のナビゲーションシステム。でもWordPressは「動詞中心」にするのがいちばんしっくりくるとのテスト結果。
- ダッシュボード画面の内容の総入れ替えを予定。ニュースの面積を減らし、本来のダッシュボードの意味に近い管理ツールを見渡せるレイアウトにする。
- 「草稿(draft)」を保存するプロセスがいまいち実際の使い方に即していない。未来の日付で投稿できることも管理画面を見ただけでは分かりにくいので、書いた投稿を「公開のためにスケジュール」するという形態に変更される予定。
- プラグインのオプション画面へのリンクをメニューのどこに表示させるかについても検討中。
- コメント管理画面に、「メール受信ボックス」的な考え方を取り入れることが予定されている。ちょっとGmail風になるらしい。
言い回しに関することについては、管理画面(プラグインも含む)の日本語訳の際にも気をつけておきたいポイントが多かったです。とくに大事だと思ったのは、「簡潔にしようとするあまり、言葉足らずにならないように」ということ。たしかに、日本語でも英語でもそのせいで分かりにくいインターフェースになってしまうことは多いです。基本的ですが、UIを作ったりローカリゼーションをしたりするときには絶対忘れないようにしておきたいポイントです。
オープンソースのソフトって、正直言って管理画面の使い方が分かりにくいものがけっこう多いですよね…。(まぁ、オープンソースに限ったことでもないとも言えますが)WordPressも、だんだん良くなってきているとはいえ、まだまだ初めて使う人などには分かりにくい点もかなり多い。こうやってプロの目から見た、誰もが納得できるような改良を取り入れていくのはとても前向きだと思います。
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