“Supersize Me”を観た。

Supersize Me“Supersize Me”は、監督兼主演のモーガン・スパーロック氏による実験ドキュメンタリー。
30日間マクドナルドのメニューにあるもの以外のものは一切食べず、それによってどういった体調の変化が起きるのかを観察しつつ、アメリカのファストフード業界や加工食品業界、公立学校の食事情などについてレポートする映画です。

実験結果はもちろん…きっと誰でも想像のつく結果です(←ネタばれ?)。

ちょっと公平じゃない見せ方ではあったかな…という気もしたのですが。たとえば実験中のモーガンの症状を彼のコメントだけじゃなくもっと客観的に見せて欲しかった。病院での検査もするんですが、監督でもある彼が「胸に圧迫感が…」とか「憂鬱だ」とか口で言ってるのはちょっと説得力薄いかなーと。しかし全体的には笑えるところもあり、データを見せられて息を呑むところもあり、自分の彼女も巻き込んで体当たりでこの作品を作ったということもすごい!と思います。それに、ファストフード業界などの扇動的な広告に対抗するという意味では、これくらいの力強くて突っ走りぎみなドキュメンタリーもきっとアリでしょう!

McDonald's Fast Food Center目を覆いたくなったのは、胃バイパス手術(糖尿病の治療などのために胃のサイズを手術で縮小させる)の画像やモーガンがスーパーサイズを全部平らげようとして戻してしまうシーンよりもなによりも、学校のランチのシーン。「子供達が賢い選択をしてくれると信じてるわ」なんて言う給食担当者の横でランチを買う子供達は、炭酸飲料やフレンチフライやチョコレートバーなどを昼食として食べてる…。これは、本当に悲しい現実です。子供達の健康と教育を第一に考えるべき学校で、予算上の理由などから加工食品だらけのランチが提供されている。優先順位を間違っている気がしてなりません。

私はアメリカの高校で2年間過ごしたのですが、確かメイン(ハンバーガーやラザニアなど)、フレンチフライか野菜、ミルク、デザート…とかいうランチが$1.75で買えてました。それもちょっと健康的とは言いがたいのですが、もっとひどくてアイスクリームだけ、とか、ポテトチップの小袋とコーラだけ、なんていうランチを常食してる子もたくさんいたし、別に先生達も何も口出ししたりはしないので(先生は先生同士でテーブルを囲んで食べてた)、“賢い選択”なんて夢みたいな希望だよな~と思ってしまいます。ちなみに私も、最初の1年はけっこう…かなり、太りました(笑)。

しかしまあ、日本へ帰る機会があったり、大学に入って自炊を始めたりで幸い肥満の道へは突き進まなくて済んだのですが、アメリカで太らずにいるということがいかに難しいかも分かりますし、やせるのが難しいということも分かります。そういう自分の体験もあり、アメリカの食生活に関する個人雑感を書くときりがないので、折を見てここやアメリカ食のほうにも書いていきたいと思います。

映画関連リンク:

Fast Food Nation最後に、共通した題材なのでお気に入りの本をご紹介。2年ほど前にFast Food Nation(邦題:ファストフードが世界を食いつくす)という本を読んで、それ以来いわゆるファストフードチェーンに行ったのは多分片手で数えられる程度…。今でも、避けられる限りは避けようと心がけるようになったというくらい衝撃的な本でした。この本はデータが詳細で、ファストフードという文化がアメリカの健康だけではなく経済格差や教育の欠如などさまざまな面に影響を及ぼすということを指摘していて、映画よりもずっと濃い内容だと思います。学校給食についても、驚くような背景を説明してくれています。

(11/5/04 追加)
30日間マクドナルド生活
日本人の方の体当たり実験です。データとかも詳しく取っていて興味深いし、脚色されすぎていない結論には映画よりも納得できました。勝手ながら、引用させていただきます。

1ヶ月食べた感想としては、不味くて高くて得体の知れない食べ物には違いないという事です。ただ、食べ続けたからといってすぐに体を壊すものではありません。しかし、この実験の目的はマックの食べ物の安全性を証明するという事ではありません。この実験の本質はそんな事ではなく、
「誰かがこう言ったからといって、それを鵜呑みにするのは危険だ」
という事です。この実験の結果もそうだし、スパーロックの実験の結果もそうです。

まあ、映画の中でも炭酸飲料の脅威の方が大きいということは言われていたのと、日本とアメリカのマックの容器サイズの差など、実験条件の違いもありますが…。実際に実験して結論をしっかり導いたところに拍手を送りたいです。


Comments

““Supersize Me”を観た。” への3件のフィードバック

  1. ええー。そうなんですか・・・。学校のランチレポ、驚愕でした。
    「選択の自由」とはいえ、チョコレートバーとかアイスだけなんて
    どう考えてもよくないですよねぃ。
    KIWIの国(遠い昔、居た事がありました)では大体ランチは持参、
    日本の「お弁当」よりはかなりライトですがそれでもサンドウィッチとリンゴ、など、ヘルシーでしたよ。今はどうだかわからないですが、なんか変わってないことを祈ってしまいました。

  2. あ、私のも扇動的な文だったかもしれません…
    もちろん学校によって違うので(映画にはなかなか健康的なランチメニューの学校もでてきました)、誤解を呼ぶ発言だったかも?
    うちの学校は少なかった気がするけど、サンドイッチ+りんご、とかいう持参ランチの子もいましたよ~。ただそれでも、炭酸飲料もつけてたりして…。小学生になる前の子供のころから、Sodaを飲ませるのもあまり珍しくないみたい。

  3. スーパーサイズ・ミー Supersize Me をみて
    ★★★★☆スーパーサイズ・ミーを観ました。サンダンス映画祭で監督賞を受賞したこの映画、なんと監督自身が「マクドナルド(以下マック)のメニューだけで30日間過ごしたらどうなるか?」という実験の被験者となるドキュメンタリー映画です。…