本日、WordPress.com ブログで「WordPress.com ダッシュボードが大幅リニューアル」という翻訳記事を公開しましたが、このダッシュボードリデザインはインストール型 WordPress.org ブログでも「MP6」というプラグインとして利用できます。私自身、このサイトと WordPress.com サイトの管理画面でしばらく使っているのですが、以前よりも操作性が高まって使いやすいと感じています。
コア開発チームの UI グループ(make.wordpress.org/ui)として開発を行なっているこのプラグイン、まだまだ謎が多い部分もあると思うので情報をまとめてみました。
誰が、どうして開発しているの?
現在プラグインページの Authors 欄に名前を連ねているのは18名。コア開発者・貢献者が多数参加しており、Twenty Ten テーマのリードデザイナーでもある マット・トーマス(MT)が指揮を取っています。
「現代のバージョンの WordPress にふさわしいダッシュボード」として、以下のゴールを設定したとのことです(引用元の記事)。
- シンプルですっきりしたデザイン。無駄な飾りがなく、コンテンツに集中できること。
- どんなブラウザでも美しく、読みやすいタイポグラフィを実現できる Web フォントを活用すること。
- パソコン、タブレット、スマートフォンに対応したレスポンシブデザインであること。
- 上記を満たしつつ、何千万人もの人が理解して利用し、テストしてきたなじみのダッシュボードの良さを失わないこと。
コアに導入されるの?
3.7 サイクルの初期でこの新デザインをコアの一部として開発を移す可能性が高いという話ですが、現時点では確定しているわけではないようです(プラグインのままになる可能性もあり)。プラグインのフィードバックしだいで、コア開発チームが最終決定を下すことになるとのことです。
どうしてプラグインとして開発されているの?
このプラグインが最初にリリースされたのは3月の初め。コアの一部ではなくてプラグインとして開発されているのは、「trunk は UI の実験を試みるにはあまりいい場所ではない」という理由から、開発中のバージョン 3.6 とは別のコンポーネントとして切り離されました。
いままで WordPress はバージョン2.3、2.5、2.7 と大きなデザイン変更を行いましたが、その際に今までの UI に慣れていたユーザーからの反発もありました。有効化・無効化をユーザーが選択できるプラグインとして提供することで、進化を止めることなく徐々に慣れてもらうこともできるようになるというメリットがあります。
管理画面全体のリフレッシュというけっこう大掛かりな変更を3ヶ月で形にできたことから、方法としては正解だったのではないでしょうか。この実験的なやり方自体も、今後 WordPress コアの機能開発手法として活かされていくこともあるかもしれません。
こういうデザインになった経緯は?
マット・トーマスによると、だいぶ前にユーザーから UI についてのアンケートを取ったこともありますが、その結果に大きく頼るというよりはインスピレーションを色々なところからもらっているということです(WPTavern のインタビューでは、Fluency プラグイン、Medium、Readmill、Twitter、Squarespace、Simple.com などを挙げています)。
レスポンシブ・ダッシュボードについて
MP6 は、WordPress のダッシュボード(管理画面)がスマホやタブレットでも操作しやすいデザインになっています。例えばスマホから見ると、管理バーはメニューを表すボタンと新規投稿・メディア・固定ページ・ユーザーを追加するボタンなど文字が表示されないとても簡略化されたものになります。投稿編集画面などではモジュールが下部に移動した1カラムレイアウトになり、入力のみに集中できます。
WordPress for iPhone などのモバイルアプリには通常の管理画面にアクセスできるメニュー項目が追加されていますが、今までは操作がしにくくてできることが限られていました。まだまだパーフェクトとは言えない部分もありますが、基本的な操作はだいぶできるようになりました。
「MP6」ってどういう意味?
プラグインのページにも「MP6 というのは何かの略語というわけではありません」と書いてありますが、この名前自体に深い意味はないようです。単なるコードネームという感じですかね。
Dashicons について
Dashicon、とか書かれるとローマ字読みで「ダシコンズ」と読みたくなりますが、ダッシュボードのアイコン「ダッシュアイコンズ」です。
Dashicon は MP6 でレスポンシブ・ダッシュボードを実現するために開発されたベクター形式の Web Font アイコンセットです(アセットのみも Github で公開されています)。このアイコンを開発するまでのワークフローについては、ベン・ダンクルが (かなり)詳しくブログに書いていて参考になります。
WordPress UI の未来
まだ正式に採用されるかどうか、それがいつになるのかは分からないこの新ダッシュボードですが、コアのデザインチームが深く関わっていることからも今後の WordPress の方向性を知るためには重要なプラグインといえると思います。モバイルへの対応と読みやすさ・使いやすさの強化というのはこれから欠かせない要素になっていきそうです。
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