先日有料サービス WPMU.org のブログに Automattic/マットへの反論の記事が書かれ、やや炎上?しているようです。発端は、同サービスが主催する WordPress MU/BuddyPress のプラグインコンテストに対し、マットが「WPMU.org のプラグインの機能がすべて含まれたプラグインがコンテストに投稿されたらいいのに」とコメントしたこと。
WPMU.org は月$34〜79で「WPMU Dev Premium」として WordPress MU/BuddyPress のプラグインやテーマなどを販売しています。しかし、このコンテストの投稿作品はすべて無料で公開するという条件があることから、このようなコメントが生まれたようです。
WPMU.org は「WordPress 創始者は私たちのビジネスがうまくいかなくなることを願っている」と題した反論記事内で、以下のように語っています。
- すべての WPMU.org 配布プラグイン・テーマは GPL
- wpmudev.org では無料のものも配布している
- WordCamp メルボルンなどにも協力している
- WPMU.org は有料だけど、スクラッチから開発者に頼むよりは数倍安い
- WPMU Dev Premium がなければ MU や BuddyPress は未完成とも言えるくらい価値があると思う
- これはコミュニティや WordPress への貢献だと思う。どうしてそういうビジネスを攻撃するのか?
「Apple や Microsoft の社長が、自分の会社の OS 上で動くソフトウェア会社に対して『うまくいかないといいのに』と言うなんてありえないだろう、おかしいんじゃないの?」と言っていますが…。プロプライエタリな OS を販売している会社の社長と、オープンソースプロジェクトの創始者を比べてもあまり意味がないような気がします。
WPMU.org とマットが相容れないのは、根本的な考え方の違いからきているようです(あえて、WPMU.org と WordPress が…とは言いません。これはあくまで創始者であるマットの理念だと思うので)。WPMU.org は、「Mac や Windows のソフトウェアを開発するのと一緒で、MU プラグインなんかを販売することはプラットフォームやユーザーにとって良いことだ」と考えています。マットは、「オープンにコードやアイディアを共有してこそ、プロジェクト全体が進化・改善していくはずだから、WordPress とその配布プラグインやテーマは誰もが無料で自由に手に入れられる『べき』だ」という考えを持っています。
反論記事へのマットのコメントは以下の通り。
「WPMU Dev Premium がなければ MU や BuddyPress は未完成」?
それ自体が問題だと思う。WordPress は、お金を出さないと完全なソフトとして使えないということはない。それは、Automattic を含むコミュニティのメンバーが、コアや公開プラグイン&テーマに改善、バグ修正、新機能を加えていっている結果であり、(ライセンスは何であれ)有料でしか手に入らないコードに開発が集中すれば、コミュニティは窮地に陥るだろう。MU は、実際そうなってしまった。MU や BuddyPress が100%完成することを願ってる。
WPMU.org は MU のコアに貢献するかわりにプロプライエタリな開発をしてきた。Codex ドキュメンテーションに協力するかわりにプロプライエタリなマニュアルを書いている。
こういったことは、違法でもないし、倫理に反することでもないし、悪いことでもない。あなたたちにはそうする権利がある。
でも、僕がコミュニティの観点から言おうとしていることも理解してほしい。MU のアクティブなユーザーの多くが、こういった共有されていない開発から生まれたものに頼っている。MU に貢献してくれる人は本当に少ない。MU でできたブログは シングルインストール型 WordPress と同じくらいあるのに、貢献は比率で言うと10分の1くらいだ。だから、MU を(今の形で)継続していくことはできなくなってしまったとも言える。
またマットは WordCamp Tokyo でも「WordPress は誰かのものではない、みんなのもの」と言っていますし、冒頭のプラグインコンテストに対してのコメントやその反論に対するコメントも、「こうなってほしい理想」としての発言ではあると思います。創始者であろうとオープンソースプロジェクト周辺のビジネスをコントロールすることは不可能で、そうしようとすれば反発を引き起こすでしょう(この例のように)。
ただ、「WordPress は活発で協力的なコミュニティがあるからこそ価値がある」ということも忘れないでほしいと思います。
- もし、日本語訳ファイルやマルチバイト処理パッチプラグインが有料でないとダウンロードできず、WordPress 日本語版パッケージが未完成なものだったら?
- 日本語環境に即したプラグインやテーマが、WPMU.org のようなサイトでしか手に入れることができなかったら?
- 公式フォーラムやドキュメンテーションがなくて、有料サポートでしか情報を得られなかったら?
そういう状態だったとしたら、あなたは WordPress を使っていたでしょうか?
WordPress 日本語版がこれだけ多くのユーザーや協力者を獲得し、成長できていたでしょうか?
WordPress をベースとしたビジネスをすること自体は良いことだし、すべてをオープンにすることなんて無理でしょう。私も本を書いたり、特定のクライアント用のテーマを作ったり、すべてを無料で共有できないお仕事もたくさんしてきました。でも、そういった仕事だったとしても、その中で気づいたことをドキュメンテーションに反映したり、フォーラムを覗いて経験から答えられる質問に回答したり、使っていて気づいたバグを報告したり、パッチを書いたりすることはできます。そんな時間がないなら、お世話になっているプラグイン作者に寄付をしたりといったことでもいいと思います。
WordPress を利用するにあたって、協力することへの強制は何もありません。
でも、このちょっとした事件?が、もう少しだけ WordPress プロジェクトに協力してみようかな、というきっかけになればと思います。
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はじめまして。
オープンソースとビジネスの兼ね合いは難しいですよね。
私がメインで参加しているGeeklogはWordPressほど
有名ではないのでこの問題は表には大きく出ていません。
しかしメジャーになればなるほど発生率が高くなると考えます。
私自身「オープンソースは善意の共有」と考え、
ビジネスとして利用した参考事例であっても共有になると思います。
しかし、オープンソースの意味とGPLなどのライセンスを無視した
「やったもん勝ち」スタイルや参加者の知的好奇心や創造好奇心を
踏みにじるようなビジネス展開をする所には激しく嫌悪感を持ちます。
難しい所です。
すいません。お返事したと思っていたのに抜けていたようです。
やはり引き続き「難しい」問題でもありますし、解決には至っていないと思います。
最近発表されているコア開発者のミーティングの結果によると、プラグインの方は「必須」的になってきているものについてはコアのようにちゃんとプロジェクト化していくつもりのようです。まだ話が出ているだけではありますし、ビジネス…というか貢献者への見返りとしてどうなっていくのかは分からないのですが。
http://ja.wordpress.org/2009/12/15/core-team-meetup-results/
http://ja.wordpress.org/2009/12/15/canonical-plugins/
こんな熱いトークバトルがあったんですね(笑)。
premium.wpmudev.orgはwpmuを使っているので一度だけ有料プランを使ったことがあります。今よりも少し安かったと思うけど、高いと言えば高い。自分が運用しているwpmuサイトで収入モデルが確立されていないとwpmuオーナーにとってこの有料プランは痛いかもしれない。
ただし有料プランで購入できるプラグインはGPLなので再配布しようと思えば不可能ではない。彼らは再配布されると大きなダメージ食らうので一応再配布はやめてね、と言っているけど。
ただGPLってことは、例えばwpmuユーザー10人集めて一人1000円ずつ払って、一人が代表で有料プラン契約してその10人の身内の中で利用することはGPL上問題ないし、おおっぴらに有料プラグインを再配布しないから意外と便利かも、と思ってます。
ただ「WPMU Dev Premium がなければ MU や BuddyPress は未完成とも言えるくらい価値があると思う」って主張はMattを怒らせるよね。wpmu and buddypressを便利にするプラグインとテーマを有料で提供はしているけど、コアに貢献しているとは思えない。
今頃なお返事ですみません。
MU x WP 統合で、またこの流れがどうなるのかな?というのも興味深くなってきましたね。
少なくとも、WPMU という言葉での混乱は少なくなるので、ただでさえ WordPress・WordPress MU の区別がわかりづらいと思っているユーザーにとっては良いことかもしれません。