「もし今のようになることを知っていたなら WordPress.com は違う名前にしていた」と両方の創始者であるマットが話しているのを聞いたことがありますが、レンタルブログの WordPress.com と、オープンソースプロジェクトの WordPress.org の名前が似ていることから、かなり混乱を招いている状態が最近また悪化しているようです。
先日、「ロングテール理論」の提唱者であるクリス・アンダーソンが「Free: The Future of a Radical Price」という新刊に誤解をしたまま WordPress について書いたことが指摘されています [1]。さらに、「WordPress.com は WordPress のブランドイメージに悪影響?」という議論も。
日本ではこの状況は逆転していて、「WordPress」と聞くと WordPress.org の方を先に思いつく人の方が多いと思いますが、「Free」が邦訳されたら誤解が広まってしまいそうで心配です。アメリカなど WordPress.com レンタルブログサービスが好調な国では、こんな声が見受けられます。
- WordPress って無料版と有料版があるんだよね?
- WordPress.com の方が昔からあるんじゃないの?
- WordPress.org って Automattic が運営しているプロジェクトで、インストール型ソフトはこの会社の製品でしょ?
- WordPress.org の主要開発者はみんな、WordPress.com で働いてるんだよね?
ちなみに上記はすべて間違いですのでご注意を!
私自身は昔から .org の方を使っていて .com の方はそちらをベースにできた別サービスという認識があったので、こういった誤解を耳にする度に意外な気がしていた時期もありました。しかし、プログラマとかデザイナーではなくて PR (広報担当) 系の人が多くいる集まりとか、ローカルな WordPress Meetup に顔を出し始めて、実際にサイト作りに深く関わっている人以外の間では、WordPress.com のほうがずいぶんポピュラーなんだなあと実感するようになりました。
考えてみると当然で、Web 制作者のツールのことなんて興味がない人の方が世の中には多いし、でも友達のブログの URLで wordpress.com って入っているのを見たことあるな、とか、無料ブログが作れるサービスで検索したら WordPress.com にたどり着いた、ということのほうがよくあるのでしょう。
雑誌 Wired の編集長でもあるアンダーソン氏ですが、オンライン版の Wired.com では、4月にブログを TypePad から WordPress.com の VIP サービスに移行しています。Web 技術に詳しく、雑誌のサイトを通して WordPress に関わっている彼でも勘違いしてしまうということは、相当分かりづらい状態なのでしょうね。
冒頭にも書いた通り、このことについては創始者や開発陣も「やり直せるならそうしたい」という気持ちなのではないでしょうか。そうは言ってもやり直しすることは不可能なので、解決策を考えていくしかないわけですが、成長してしまったサービスやソフトウェアの名前やドメインを変えるのはなかなか悩ましい問題です。
追記:
[1] Scribd.com にてこの本の無料 PDF を読む事ができます。問題の内容は259ページのフリーミアム(フリー&プレミアムの造語)の部分で、「ベーシックバージョンは無料、高機能バージョンは有料。これは Automattic 社が WordPress レンタルブログで採用しているモデル」と書かれているので、マーク・ジャクィスが指摘した部分はどうも修正されているようです!
前の記事にみやざわさんがくれたコメントで、やっぱりまだ WordPress に関して謎(?)や疑問がいろいろあるんだな、と改めて思ったので、こういう内容にしてみました。ひき続いて、いろんな方面の謎を解いていきたいと思います!
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