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WordCamp 2007レポート(2日目、後編)

WordPressの現況

「State of the Word」とは、「State of the Union (Address)」(アメリカ大統領の一般教書演説)という言い回しをもじったタイトル。Matt Mullenweg氏により、去年のWordCampから今までの動きや、この先の展望が語られました。長くなりますが、けっこう日本語でこういった内容がまとめて書かれているところはないので、なるべく詳しく書いてみます。

WordPressの実態

WordPressには、おおまかに言って3つあります。

  1. 「WordPress」=wordpress.orgでダウンロードできる、個別ブログを立ち上げるためのオープンソースソフトウェア
  2. 「WordPressMU」=mu.wordpress.orgでダウンロードできる、複数ブログを立てて運営するためのオープンソースソフトウェア
  3. 「WordPress.com」=無料サインアップできる、レンタルブログサービス(WordPressMUをベースにしたシステム)

もちろんこの他に(WordPress MEなども含む)派生バージョンがいろいろありますが、基本的にこれらが元になっています。

WordPressはオープンソース環境で開発されていますが、もともとWordPressの代表開発者であるMatt Mullenweg、Ryan Boren、Donncha O Caoimh、Andy Skeltonの4名が2005年8月に立ち上げたAutomatticという会社がWordPress.comを管理しています。ちなみにAutomatticの社員は現在16名。

Automatticの収入源

上記に挙げたサービス&プロダクトは個人ユーザ向けにはすべて無料です。先日のWP Japan Skypeミーティングでも話題が出ていましたが、サーバ代や人件費をまかなうためのAutomatticの収入源は何でしょう?という話。

答えは、WordPress.comの有料オプション&Akismetのビジネス向けサービスの2本立て、とのこと。そのほかWordPressの有料技術サポートなんかもやっているようですが、とくに言及はなかったのであまり占める割合としては少ないのかな?

今後のバージョンについて

次期WordPress 2.3は、9月リリース予定とのこと(Tracのロードマップでは8/20にテスト用版完成が目標)。今後は計画的に、だいたい4ヶ月ごとの定期的なサイクルで大きなリリースを重ねていくつもり、という話でした。「WordPress 3.0は大きな変更をたくさん含めるつもりなのか?」という質問もありましたが、「いや、単に2.9の次のバージョンとしてリリースするだけ」だそうです。

WordPressのこれから改善していきたい点

しかしこうやってどんどん機能を追加していくことで心配されるのは、WordPressがいわゆるCMSソフトのようにごちゃごちゃ重く扱いにくくなってしまうこと。開発コアチームとしては、「堅牢性、スピード、柔軟性」を3本柱に据えていきたい、と話しつつ、その中でも「柔軟性」が特に大事だと思っているという話もありました。

その他…

WordPressをリードするAutomatticというチームががこれから何をたくらんで?いるのかが見えて、とにかくほんとにおもしろかったです。

WordPress開発者インタビュー

ひきつづきMattがマイクを取り、Michael Adams/Mark Jaquith/Andy Skelton/Ryan Borenの4人にインタビューする形式で行われたこのセッション。最後となったのでリラックスした雰囲気にさらに輪がかかっていながら、5人のハードコアなWordPress開発者が集まってこその(雑談も含め)かなり濃い話が聞けました。…とかいいつつ、ほとんどメモを取っていないのでごめんなさい!一生懸命聞いていたので〜ということで許してください。何かの機会に思い出したことがあればまたちょっと掘り下げて書いてみたいと思います。


以上、えらい時間がかかりましたが、WordCamp2007 すべてのセッションのレポート終了です。行く前はどうしようか迷っていたのですが、帰ってきてからというものWordPressのみに限らずWeb仕事全般的にかなりモチベーションが上がったので、行って良かったなーと思います。オフ会もそうですが、イベントなどを通してネットの世界でやっていることをリアルに話したり聞いたりするというのはほんとにおもしろいものです。

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