サイトアイコン Naoko Takano

Black. White.

FXで今週から始まったドキュメンタリーTV番組、“Black. White.”がおもしろいです。黒人の家族と白人の家族がそれぞれ、「人種をとりかえっこ」してしまうという、社会学の実験のような内容です。
でもTV番組ならではなのは、ただのロールプレイングではなく本当に見た目まで変えてしまうということ!オフィシャルページ(BGMつきなので注意)で、登場人物にマウスオーバーしてみると…。その特殊メイクを見ることができます。

家族のメンバーは1日(1人に!)6時間かけてメイクを施され、色々な場所やシチュエーションで「白人であること」や「黒人であること」を体験します。もちろん周りの人には知らされておらず、本当のことに気づく人もいないようです(それくらい、驚くほど気合の入った特殊メイク)。それを見るだけでもかなりおもしろいのですが、1日の終わりに2つの家族が集まって「今日はどうだった?」「どんなことに気づいた?どんなことを感じた?」とわいわいディスカッションするシーンがとても興味深い。「人種差別なんて感じない。そんなの妄想だ。」なんて言い切るwhiteのブルーノ。「人種差別はそこらじゅうにある。いつもそれを感じる。」と言うblackのブライアン。そんな正反対の意見の二人が立場を交換して、そこからさらに感じたことを話し合うというのがこの番組のおもしろさです。

私自身はというと、「どちらも一理あるけど、どちらも100%正しいとは言えない…」と思っていますね。住んでいる場所とか、自分がアジア人・日本人であることで、体験できることは限られているのかもしれないけど…。まったくないなんて言えないし、だけどすべての相手の反応を人種差別と決め付けてしまうこともしたくないし。
たとえば洋服や持ち物、表情や態度で初対面の人をいくらか判断(予想)してしまうように、肌の色…人種というのに対しても、何らかの先入観を誰でも持っているものだと思います。それは今までの体験や、メディアや他の人の話などを通して知ったことを基にした個人的な先入観やイメージで、目の前にいる人に当てはまるかどうかはわからない…。だけどいつもまっさらな状態で毎日出会う人たちを判断しようとするのは逆に大変なもので、きっと私たちは慣れた考え方を繰り返し使っていこうとするのでしょう。
その慣れをひっくりかえすようなこのドキュメンタリー。登場人物の目を通して、見ているこちらも考えさせられます。

予告編を見ていると、まだまだ本人たちにも驚きの体験がたくさんありそう。彼らの口から出てくる言葉がこれから先どんな風に変わっていくのか楽しみです。

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