ひとことで言えば、“ケネディ&ジョンソン大統領の片腕として米国国防長官を務めたロバート・マクナマラ氏が語る、アメリカの近代戦争史”というかんじでしょうか。
歴史もの・政治ものは普段あまり選んでは見ないのですが、なかなかでした。というのも、主人公のマクナマラ氏のバイオグラフィーみたいな仕立てになっているので、ドラマ的要素もあっておもしろいし、11の“レッスン(教訓、ってかんじかな?)”に分かれているので、話がぐんぐん進んでいきます。
一番印象に残ったのは、第二次世界大戦での日本への攻撃が語られているところ。日本が受けたのと同じ規模の攻撃を今のアメリカが受けたら……攻撃した国は姿も形もなくなるくらい報復を受けるでしょうねぇ。今の日本とアメリカの関係の良さって驚異的なんだと改めて思わされました。
それから、自分が受けてきた戦争教育って、実感してる以上に今の自分の土台になってるなあということ。小・中学校では夏休みの出校日に戦争について教えてもらいましたが、それはすごく特別なことなんですよね。特に、核兵器についての恐怖意識は、他のどんな国で育った人よりも強い気がします。もちろん80年代に子供時代を過ごしたせいもあるだろうけど、出校日の夜は決まって核爆弾のことを考えて眠れなかったのを覚えています。「もし、明日誰かがボタンを押したら?」なんて…。
近代(特にアメリカ)史がお好きな方にはきっと興味深いと思いますし、そうでなくても今のアメリカという国や戦争についてよく考えさせられる内容だと思います。
- “The Fog of War”公式サイト。Flashで若き日のマクナマラ氏がしゃべってくれます。
- 監督エロール・モリス氏のサイト。
- IMDBのページ。