カテゴリー: 9月 2009

WordPress テーマ配布サイト「WordPress Theme」のドメイン名と規約について

少し前になりますが、8月にかちびと.net さんにて「SEO業者 のアイオイクスと海外WordPessテーマ配布に関する問題」という記事が公開されました。

これに関して、WordPress テーマのライセンスやドメイン名に関して不明な点が多いようでしたので、この件に関してまとめを書かせてもらいます。

経緯

まずは、関連記事をご覧いただくのが一番よく分かると思うのですが、

箇条書きにまとめてみると、

  1. WordPress Theme(wordpresstheme.jp)サイト上でGPLライセンスではないテーマが配布されてしており、「元の作者の了承を得ていないのでは?」「ドメイン名が商標登録に違反するのでは?」という指摘がブログ上にのぼった
  2. 運営元のアイオイクス社が規約を改訂。原作者の了承は得ていた点を明記、テーマ内の原作者へのリンクも修正
  3. かちびと.net 管理人の方が WordPress のマットへドメインの件についてメール、”wordpress” をドメインに含める許可は与えていないことを告げる
  4. 私(マクラケン)がアイオイクス社の担当の方へ連絡、ドメインについては昔 Automattic CEO のトニーが某ブログにコメントを残していたことや(その情報は現在の反応とは異な
    ります)、SplashPress Media 社からの情報をもとに判断し、問題ないと考えていたとのこと。最新かつ正式な見解を理解し、変更をしてくれるということで合意

といった感じです。

背景

こういったことが起こった背景には、ja.wordpress.org 日本語サイトにドメインポリシーの日本語訳を最近まで掲載していなかったり、テーマのライセンスに関して誤解があったりということもあります(後者に関してはこちらを参照: テーマも GPL ライセンス)。

ドメインについては確かに過去には「黙認」していたケースもあったようですが、最近では “wordpress” をトップレベルドメインに含めることは商標上の問題があるという一貫した判断ですので、ご理解ください。
これは、Automattic が WordPress というブランドを独り占めしようとするためにそうしているのではなくて、ユーザーが誤解をしたり危険にさらされないよう、WordPress という名前を守っていくという姿勢のもとに、法律の専門家に相談してこのような形をとっているとのことです。WordPress が有名になっていくにつれてその必要性が高まっていますし、混乱を避けるために、今まで黙認していたケースも今後は一律で使用を中止するよう働きかけていっています。

しかし、たとえ間違ってそういったドメインを取って使ってしまっても、すぐに訴えられるということはありませんし、明日にでもドメインを変えないと大問題に発展するということはありません。ただそういったサイトにはできるだけ早いドメイン変更をお願いするという形で、常識的な判断内で対応しています。

テーマの GPL ライセンス

テーマの GPL ライセンスについては、アイオイクス社と SplashPress Media 社とのやりとりのなかで少し誤解があったようです。実は SplashPress Media 社の方は、ドメインについてのトニーやマットからの変更依頼には応えていない状態です。9rules、BloggingPro、ブログヘラルドなどの著名なメディアサイトを抱えている会社のため、「あそこもやっているのなら、いいのではないか?」といった誤解を呼ぶものになってしまっており、残念です。

間違いを避けるために

もし何か今後、ドメインやライセンスのことで分からないことがあれば、AutomatticWordPress 日本語チームに連絡することもできるし、はもちろん、マットトニーも連絡先を公開しています。もちろん誤解してしまって取り返しのつかないことになる、なんてということはほとんどないですが(本などと違って修正できるのがウェブの利点だと思いますし、指摘を受けて変更を加えられたのは改善ととらえています)、不明な点はまず連絡してもらえればと思います。

今回の件はかちびと.net さんがお問い合わせをしてくれたおかげで解決に至りましたし、はてなブックマークなどで注目を集めたことでドメインの件に関する理解も少しは深まったのではないかと思います。また、アイオイクス社さまにも、メール後対応していただきありがとうございました。
今後、分かりづらい点などはさらに積極的に情報を提供していきたいと思います!

有料プラグイン&テーマ販売サイト運営者と WordPress 創始者のブログ上バトル

先日有料サービス WPMU.org のブログに Automattic/マットへの反論の記事が書かれ、やや炎上?しているようです。発端は、同サービスが主催する WordPress MU/BuddyPress のプラグインコンテストに対し、マットが「WPMU.org のプラグインの機能がすべて含まれたプラグインがコンテストに投稿されたらいいのに」とコメントしたこと。

WPMU.org は月$34〜79で「WPMU Dev Premium」として WordPress MU/BuddyPress のプラグインやテーマなどを販売しています。しかし、このコンテストの投稿作品はすべて無料で公開するという条件があることから、このようなコメントが生まれたようです。

WPMU.org は「WordPress 創始者は私たちのビジネスがうまくいかなくなることを願っている」と題した反論記事内で、以下のように語っています。

  • すべての WPMU.org 配布プラグイン・テーマは GPL
  • wpmudev.org では無料のものも配布している
  • WordCamp メルボルンなどにも協力している
  • WPMU.org は有料だけど、スクラッチから開発者に頼むよりは数倍安い
  • WPMU Dev Premium がなければ MU や BuddyPress は未完成とも言えるくらい価値があると思う
  • これはコミュニティや WordPress への貢献だと思う。どうしてそういうビジネスを攻撃するのか?

「Apple や Microsoft の社長が、自分の会社の OS 上で動くソフトウェア会社に対して『うまくいかないといいのに』と言うなんてありえないだろう、おかしいんじゃないの?」と言っていますが…。プロプライエタリな OS を販売している会社の社長と、オープンソースプロジェクトの創始者を比べてもあまり意味がないような気がします。

WPMU.org とマットが相容れないのは、根本的な考え方の違いからきているようです(あえて、WPMU.org と WordPress が…とは言いません。これはあくまで創始者であるマットの理念だと思うので)。WPMU.org は、「Mac や Windows のソフトウェアを開発するのと一緒で、MU プラグインなんかを販売することはプラットフォームやユーザーにとって良いことだ」と考えています。マットは、「オープンにコードやアイディアを共有してこそ、プロジェクト全体が進化・改善していくはずだから、WordPress とその配布プラグインやテーマは誰もが無料で自由に手に入れられる『べき』だ」という考えを持っています。

反論記事へのマットのコメントは以下の通り。

「WPMU Dev Premium がなければ MU や BuddyPress は未完成」?
それ自体が問題だと思う。WordPress は、お金を出さないと完全なソフトとして使えないということはない。それは、Automattic を含むコミュニティのメンバーが、コアや公開プラグイン&テーマに改善、バグ修正、新機能を加えていっている結果であり、(ライセンスは何であれ)有料でしか手に入らないコードに開発が集中すれば、コミュニティは窮地に陥るだろう。MU は、実際そうなってしまった。

MU や BuddyPress が100%完成することを願ってる。

WPMU.org は MU のコアに貢献するかわりにプロプライエタリな開発をしてきた。Codex ドキュメンテーションに協力するかわりにプロプライエタリなマニュアルを書いている。

こういったことは、違法でもないし、倫理に反することでもないし、悪いことでもない。あなたたちにはそうする権利がある。

でも、僕がコミュニティの観点から言おうとしていることも理解してほしい。MU のアクティブなユーザーの多くが、こういった共有されていない開発から生まれたものに頼っている。MU に貢献してくれる人は本当に少ない。MU でできたブログは シングルインストール型 WordPress と同じくらいあるのに、貢献は比率で言うと10分の1くらいだ。だから、MU を(今の形で)継続していくことはできなくなってしまったとも言える。

またマットは WordCamp Tokyo でも「WordPress は誰かのものではない、みんなのもの」と言っていますし、冒頭のプラグインコンテストに対してのコメントやその反論に対するコメントも、「こうなってほしい理想」としての発言ではあると思います。創始者であろうとオープンソースプロジェクト周辺のビジネスをコントロールすることは不可能で、そうしようとすれば反発を引き起こすでしょう(この例のように)。

ただ、「WordPress は活発で協力的なコミュニティがあるからこそ価値がある」ということも忘れないでほしいと思います。

  • もし、日本語訳ファイルやマルチバイト処理パッチプラグインが有料でないとダウンロードできず、WordPress 日本語版パッケージが未完成なものだったら?
  • 日本語環境に即したプラグインやテーマが、WPMU.org のようなサイトでしか手に入れることができなかったら?
  • 公式フォーラムやドキュメンテーションがなくて、有料サポートでしか情報を得られなかったら?

そういう状態だったとしたら、あなたは WordPress を使っていたでしょうか?
WordPress 日本語版がこれだけ多くのユーザーや協力者を獲得し、成長できていたでしょうか?

WordPress をベースとしたビジネスをすること自体は良いことだし、すべてをオープンにすることなんて無理でしょう。私も本を書いたり、特定のクライアント用のテーマを作ったり、すべてを無料で共有できないお仕事もたくさんしてきました。でも、そういった仕事だったとしても、その中で気づいたことをドキュメンテーションに反映したり、フォーラムを覗いて経験から答えられる質問に回答したり、使っていて気づいたバグを報告したり、パッチを書いたりすることはできます。そんな時間がないなら、お世話になっているプラグイン作者に寄付をしたりといったことでもいいと思います。

WordPress を利用するにあたって、協力することへの強制は何もありません。
でも、このちょっとした事件?が、もう少しだけ WordPress プロジェクトに協力してみようかな、というきっかけになればと思います。

WordCamp Kyoto 2009 開催決定!

WordCamp Kyoto 2009 バナー今年4月の東京での WordCamp から約半年後となる10月に、京都での WordCamp が決定しました!

WordCamp とは、WordPress をテーマにした、世界各国で行われているイベント。今回の京都では10月16日、17日の2日間にわたり、それぞれ「ビジネス Day」「コミュニティ Day」として開催します。会場は、IT を含め各種先端技術の環境整備を応援している、京都リサーチパーク(KRP)となります。

4月には関西でも「懇親会」として WordPress 創始者マット・マレンウェッグさんの歓迎ディナー的な集まりを行ったのですが、カンファレンス形式としての「WordCamp」開催は、東京以外の国内ではこれが初になります。WordBench の地域ユーザーグループなども参加者が増えてきていますし、このイベントによってさらに各地域のコミュニティが盛り上がるきっかけになればと思います。

私も運営に協力しつつ、2日目のスピーカーとして参加予定です。楽しく、ためになるイベントになるようスタッフ一同がんばりますので、応援してくださる方はブログなどでの広報スポンサーとしてなど、ぜひご協力ください!

イベントの公式サイトは、kyoto.wordcamp.org となります。また、Twitter アカウントは @wordcamp_kyoto、ハッシュタグは #wckyoto09 です。引き続き登録受付情報、スケジュールなど公開していきますので、お楽しみに。

8〜9月の WordPress 関連参加イベント

8月から先日まで約1ヶ月半(里帰りもかねて)日本に滞在し、普段の仕事に加えてイベント参加などの活動をしていました。
かなり前になってしまったものもありますが、この1ヶ月ほどの間に WordPress がらみで講演&参加したイベントをスライドを含めまとめて記録しておこうと思います。

WordBench 福岡勉強会

WordBench 発起人の三好さんといっしょに、プレゼンというよりもっとリラックスした雰囲気でデモや説明をしました。参加者の方の興味のありそうな話題を中心に、「WordPress」をくくりに、多岐にわたった内容を取り上げたのですが、私としても皆さんの興味の対象トピックが理解できたのがとても良かったです。
福岡では次回の勉強会もすでに決定していますし、今後も続けていく予定とのことです。WordPress イベントカレンダーでご確認ください。


WordBench 東京@赤羽勉強会

講演「Automattic のワークスタイル」(スライド

こちらのレポートは先日書きましたので、ご覧下さい。いまだにこのトピック(バーチャルオフィスでの働き方)については会った人によく尋ねられます。機会があればまた詳しくブログでも書いてみたいなと思っているところです。
幹事のゆりこさん星野さん、ありがとうございました!


第2回 CMSビズ

講演「世界が WordPress を選ぶ理由」(スライド

CMS のイベントとしてかなり長く続けられていた CMS Night の後継となった「CMSビズ」にて、WordPress の概要紹介をしました。キャッチボール・トゥエンティワンさん主催、OSSコンソーシアム CMSビジネス部会協賛ということで、CMS 関連でお仕事をされている方や、ビジネス的に興味を持っている方が集まったイベントでした。今まで WordPress 関連では個人ユーザーやコミュニティ中心のイベントにしか参加したことがなかったので、なかなか新鮮でした(スーツの方が多かった :) )。また、こういう場でも WordPress が注目されているということも分かったのが大きな収穫でした。こちらは、CMS ソリューションズの荻澤さんに声をかけていただきました。ありがとうございました!


ハッピーコム 第2回 WordPress 勉強会

高円寺で主に女性をターゲットにした IT 系講習会などをされているハッピーコムさんが主催する勉強会に、参加者として出席させていただきました。今回はテーマについての話が中心で、毎回少しずつ WordPress のことを勉強していくようになっているとのことです。参加者にワークをしてもらいながら進めるスタイルなども参考になりました。今後も引き続き勉強会を行っていく予定とのことですので、興味がある方は今後の日程をぜひチェックしてみてください。情報をくださった socialpreneur さんこと三澤さん、ハッピーコムの佐田さん、ありがとうございました!


SocialWeb2.0Party Vol.2

8/18 のゆるゆるがじぇっとないとでお会いしたインタラクティブエンゲージメントの芳井さんにお誘いいただいて参加してみました。ここでも WordPress ステッカーを配ったり、抽選会のプレゼントを提供させてもらったり。広告系の方が多いようでしたが、いわゆる「ソーシャルメディアマーケティング」に日本でも注目が集まっていることを感じました。


PHP カンファレンス 2009 ビジネスディ

講演「世界標準パブリッシングプラットフォーム WordPress」(スライド

2日にかけて行われた日本 PHP ユーザ会主催のイベント、PHP カンファレンスにて WordPress の海外での人気の様子についてご紹介しました。GREE の社長さんや フレームワーク Symfony の開発者さんなども出演されるイベントで WordPress について話す機会をいただいたことはほんとうにありがたかったです(声をかけていただいた安藤さんに感謝!)。PHP カンファレンスは初参加だったのですが、とても楽しく充実した2日間だったと思います。PHP 開発者の方にももっと WordPress コミュニティに関わってもらい、面白いアイディアや高度かつエレガントなカスタマイズ法などを生み出していっていただければなあと思います。


PHP+WordPressセミナー 〜ブログシステムWordPressの利用と活用〜

デモ「WordPress の可能性」(スライド

アウリープの柏岡さんEthnasotaroさんこと柄沢さんといっしょにセミナーをさせてもらいました。私のプレゼンは、WordPress をすでによく使っている方には知っている話が多かったかもしれませんが、それ以外の PHP 開発者の方にも WordPress は単なるブログとしてではなく使ってもらえるということを知ってほしいなと思い、いくつか実例となるサイトをデモ的に紹介しました。平日の夜にもかかわらず足を運んでくださった皆様に感謝です。また、うまくスライドがお見せできず失礼しました。
柏岡さん、柄沢さん、そしてご協力いただいたびぎねっとさん、インターラボさん、ありがとうございました!


こうして見ると、いろんな方に WordPress を盛り上げよう!と力になってもらっているのが本当に分かりますね。イベントに行っても、「WordPress 大好きです!」とか、「プレゼン見て始めたけど、もうハマっちゃいました!」とかいう熱い声をいただけるのが何よりうれしいです。

WordPress を広めたい気持ちはもちろんすごくあるし、それが今の仕事の一部でもありますが、だからといってマーケティングのテクニックを駆使して無理に使ってもらうんじゃなくて、ファンになってもらうきっかけづくりをしていけたらなと思っています。時間はかかるかもしれないんですが、そういった方法でこそ WordPress の本当の良さが確実に多くの人に伝わっていくと信じています。

いつも日本にいるわけではないので、オフラインのイベントには参加できないことも多いのですが、今後も機会を見つけて顔を出していこうと思います。